「予防」、ことばにできますか?リハの人が整える「予防」の真意
「介護予防」と聞くと、多くの人が運動や体操を思い浮かべます。
でも本当にそれだけでしょうか。予防には段階があり、目的も立場によって異なります。若返ることではなく、今の生活をできるだけ長く続けること。
介護保険制度の背景も含めて、「予防」という言葉をリハビリ職の視点で整理してみます。
[目次]
- 介護「予防」を整理する
- いわゆる「予防」は1次予防
- 「予防」の目的は若返りではない
- 介護保険と予防のはなし
-
介護「予防」を整理する
介護予防は、段階によって役割が異なります。まずは全体像をシンプルに整理してみます。
1次予防:
まだケガや病気をしていない人が、健康を保つための取り組み。
例:ラジオ体操、地域の体操教室、高齢者サロン
2次予防:
生活習慣病などのリスクが出始めた段階で、早めに対処する取り組み。
例:健診後の保健指導、地域包括支援センターでの相談
3次予防:
ケガや病気、要支援・要介護状態になった後の、重症化を防ぐ取り組み。
例:通所介護、訪問リハビリなどの介護保険サービス
1次は個人や地域が主体になりますが、
2次以降は行政や専門職の関与が増えていきます。
3次予防では、介護保険サービスを利用する形が中心になります。
-
いわゆる「予防」は1次予防
よくある体操教室や予防サロンは1次予防。これを知っておくと取り組む姿勢が整う。
多くの方に馴染みのある「予防」といえばラジオ体操がその筆頭ではないでしょうか?もしくは、自治体で取り組まれている介護予防体操がそれに当たるかもしれませんね。いずれにしても、これらは先に述べたように「1次予防」の取り組みです。1次予防はケガや病気をしていない状況(未病)の方に、その健康状態を継続してもらうために行われている取り組みです。
つまりは、健康な状態にある人がその健康状態を維持するために行う活動です。この「維持するため」という目標設定が大変重要です。加齢に伴う筋力低下は、万人に起こります。どんなに若いころスポーツをしていた人でも、30歳を超えればなにもしなければ自然に筋力・体力は衰えます。
「維持」と聞くと「効果がなかった」と解釈されがちですが、「なにもしなければ落ちていくことが予測されるものを、落とさなかった」これは十分に成果ですよね。
-
「予防」の目的は若返りではない
「現状維持」も立派な成果!年齢の重ね方の質こそ予防の目的
ヒトの身体は残念なことに衰えと向き合わざるを得なくなります。僕も高校生の頃のように動けなくなりましたし、両親も以前ほどアクティブに旅行にもいかなくなりました。いつまでも若々しくいたいけどなかなかそうはいかないものです。
予防の取り組みも同様に「若返り・体力UP」を目指すことが目的の活動が多く見られます。ですが、参加者もあるいは指導するトレーナー自身も心のどこかで限度があるだろうと勘付いている人もいるはず。
指数関数的に強まっていく身体の変化を緩やかにして、できるだけ長い期間「自分のことは自分でできる」状態を維持することが介護予防の本質。
今の日本人の平均は亡くなる前の10年間は介護保険サービスを受け、生活に援助が必要となる期間があります。ピンピンコロリ、が一般的になればなるほどこの10年という数字は短くなります。
健康寿命を延ばすためにコツコツ積み重ねられることに取り組んでみませんか?
-
介護保険と予防のはなし
当たり前に介護が受けられない時代がすぐそこまできている
介護保険制度は実は結構ひっ迫しています。2040年には日本人の3人に1人は高齢者になり、介護保険料も上昇の一途を辿ります。医療の負担割合が最近1割から2割に変わりましたが、介護保険も同様に自己負担が増していくことが予想されます。
すると金銭的に介護を受けられず家族への負担が増えることに心を痛める人がが出てきます。誰でも受けられる介護サービスがそうではなくなっていく。
自分の健康を自分で守る「予防」の取り組みは自分らしさや尊厳を守るだけでなく自分の老後にとって、自分の大切な家族にとって、とても大切な資産になります。
膨大な介護保険関連費用が積みあがってしまった今こそ、自分らしい最期を選ぶために「予防」と「健康状態を保つ」ことの価値は高まっていると体感しています。